西洋医学の歴史と日本に普及した背景

西洋医学は、東洋医学と対比される概念です。東洋医学が、人間が本来持つ回復力を高めることによって病気を治癒させるという考え方をベースとしているのに対し、西洋医学はより直接的に病気の原因を取り除くという考え方がベースになっています。

このような考え方が形成されるに至った背景には、ヨーロッパの歴史が関係していると言われています。中世以前のヨーロッパにおいては、宗教的な理由から病気は天から与えられたものであると考えられており、積極的に治療が行われていませんでした。

しかし、ルネサンスにおける解剖学の発達によって、人間の体の仕組みが明らかになったことで、病原に直接すれば病気が根治できるという考え方へと変遷を遂げていったとされています。

この西洋医学は、鎖国が行われていた江戸時代にはすでに断片的に日本に入ってきており、解体新書のような書物も発行されていましたが、当時の日本はあくまでも東洋医学が主流であり、西洋医学を基にした医療が行われるケースは稀でした。

しかし、明治時代になって西洋医学の資格がなければ医師を名乗れないという法令ができます。これにより、日本の医学の在り方が抜本的に変わったと言われています。

それにより、西洋医学が日本の医学におけるメインストリームとなり、現在に至るまで医学といえば西洋医学がイメージされるようになった背景があります。とはいえ、東洋医学は完全に廃れたわけでなく、漢方薬や鍼灸治療などにその考え方は脈々と受け継がれています。